外資系企業の社内転籍で海外移住を実現する3つのポイント

待っているだけでは実現しない海外社内転籍

外資系企業に勤めていて、チャンスがあれば海外勤務をしたい、あわよくばそのまま海外移住したいと思っている人は結構多いと思う。「会社から”2年くらい行って来い!”という辞令がおりないかなぁ」、とおぼろげな期待を持っている方もいると思う。

が、外資系企業は日本でビジネスをするために日本人を雇っているので、本社からそういう赴任辞令がおりることは非常に稀だ。あったとしてもそれはかなり大手の企業に限られ、自分が選ばれる可能性は決して高くない。社内転籍で海外で仕事をするチャンスをつかむためには、そういう機会が降ってくるのを口を開けてまっているだけでは駄目で、自分で色々意思表示をしつつ、行動を起こしていかなければならない

私は、中堅のIT企業であれこれあがきながら、何とか海外転籍への道を切り拓いていった口なので、私がどうあがいたのか、自分の経験からどの辺がポイントなるのかを共有したい。

とにもかくにも意思表示

基礎の基礎であるが、とにかく「自分は海外転籍を強く希望している」と表明をすることがスタートポイントとなる。この「強く希望」というのが非常に重要で、「興味がある」程度では、会社にとって面倒な海外転籍という話は前に進まない。

また、なるべく上のポジションの人に自分がそういう「強い希望」を持っているということを認知してもらうのも大事だ。勿論自分の上司にそういう話をするのは大事だが、私は本社のCFOが来日した際、そして自分の所属部署のVPが来日した際に、個別に時間をとってもらって自分の希望を伝えた。会社にとっても投資となるので、その投資の妥当性を判断するポジションの人に認知してもらうというのは重要なステップだ。

最後に、一度だけでなく、何度も伝える点も胆だ。タイミングと言い方は勿論大人なので充分に配慮する必要はあるが、「一度言ったから認識されているだろう」という考えは甘いので注意が必要。「そういえば、あいつは海外転籍したいって言っていたなぁ」と何かの拍子に思い出してもらえるにはしつこい刷り込みがものをいうものだ。

できる限り「高い」ポジションの人に「強い」希望を、一度だけでなく「何度」もだす、という3点は重要なポイントなので強調したい。

海外のオープンポジションにアンテナをはる

社内転籍で先立つものは、移住先の仕事だ。アメリカでは社内の異動を人事部が主導して実施するということはまずない。また、所属先のマネージャー自身が他部署への異動を持ちかけるということも稀だ。外部のオポチュニティを見つけるのと同様に社内の異動についても、自らキャリアアップにつながりそうなポジションを自分自身で見つけ、積極的に応募をして働きかけるというのが通常の流れである。

社内で異動先を見つけるには2つのパスがある。自分が興味をもて、かつ強みを活かせそうな部署のマネージャーにオープンなポジションがないか直接聞いてみるというのが1つめだ。そのマネージャーと仕事での接点があり、それなりの評価をえているとの感触があれば、話はとんとん拍子に進む可能性がある。残念ながら、オープンなポジションがない場合であっても、もしヘッドカウントがとれた際には自分の候補者として検討してほしいとくさびを打ち込むことができるし、他の部署への紹介をお願いすることも可能だ。これは本社へのコネクションが強い場合は有効な手立てだ。

もう一つのパスは、社外に向けての採用募集のウェブページで、希望のポジションを探すというやり方だ。この外向けの採用募集ページは、ホットな募集が集まっているので、条件さえあえば即採用という可能性もある。アメリカで採用マネージャーになってから知ったのだが、自分がだした募集に対してアメリカ国内の社員からだけでなく、国外の社員からの応募も結構ある。なので、海外のオープンポジションに目を光らせてまめにチェックしつつ、これはというポジションには応募してしまうという思いっ切りは非常に大事だ。

「採用はアメリカ国内のみ」みたいな制限がついている場合が多いが、それで臆してはいけない。採用マネージャーが海外からの転籍というのを考えたことがなかっただけで、良い人材であれば国内外のタレントを問わないというケースは非常に多いからだ。「ダメもと」で飛び込む図々しさが機会の扉をこじ開けるには必要だ。アメリカは社内労働市場も非常に活性化しているので、それを利用しない手はない。

現職を最高のパフォーマンスでこなし、社内の実績を積み重ねる

移住先に自分のポジションを確保することは、海外転籍・海外移住を成立させる上では非常に重要という話は前項でした。で、当たり前のことであるが、自分の働き先を確保するためには、仕事の能力と社内での評判がものを言う。社内転籍であれば、自分と仕事をしていた人にリファーラル・チェックが入るので、その際に「あいつは滅茶苦茶できるから絶対にとった方が良い」と言ってもらえるか、「良い人なんだけどねぇ」と言われてしまうかで運命がわかれると言っても過言ではない。なので、現職で、自分が持ちうる最高のパフォーマンスを発揮するということが何よりも大事だ。

私はセールスオペレーションの仕事をしているので、日本の営業プロセス上の要件などを本社に伝え、それを実現にうつすということをよくやっていた。粘り強く、事実に基づいた定量的な提案をこころがけたので、「日本のうるさ方」として本社でも評判がたっていた。本社からおりてきたものを「はいそうですか」と日本に導入するわけではないので、「うるせえ奴だなぁ」とも思われていたかもしれない。が、いざ決まったことは日本の営業の方を説きふせて粘り強く実行していたので、アメリカサイドでの評判は悪くなく、アメリカ本社にも顔馴染みは多かった。本社サイドでも、今後グローバルなプロジェクトを色々推進していく上で、アメリカ以外の経験が豊富な人材を求めていたこともあり、コンタクトをした2つのチームから無事オファーをえることができた。

社内での実績というのは、自分の仕事の能力を証明する不動の証しだ。面接では、時間の短さや言語がネックになり、自分の良い所を100%アピールできない場合である。だが、時間をかけて積み上げた社内の評判や実績は、誰かが必ずきちんと見て、評価をしてくれる。なので、将来の選択肢を広げるために、目の前にある仕事を日々きちんとこなし、幅広い信頼を勝ち得るよう努力することこそ社内転籍への近道だ。

まとめ

以上、海外社内転籍を実現するために実施すべきこととして

  • とにもかくにも意思表示
  • 海外のオープンポジションにアンテナをはる
  • 現職を最高のパフォーマンスでこなし、社内の実績を積み重ねる

という3点を私の経験から共有させて頂いた。ただ、これは私の経験のみに基づいたものなので、他にも考慮すべき事項は沢山あると思う。キャリアの積み重ね方は人によって千差万別。是非、外資系企業で社内転籍を実現した他の方にも話を聞いてみて頂きたい。

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